医療コラム

脳卒中は時間との戦いです

町広報「まつまえ」24年7月号掲載

みなさんこんにちは、松前病院の吉野です。そろそろ暑さが本格的になってくる季節ですが、お仕事や畑に精を出されているみなさん、くれぐれも十分な水分補給をお心がけ下さいね。
 今回は脳卒中についてのお話をしたいと思います。いわゆる「当たる」という病気です。脳卒中には脳の血管が破れて出血してしまう脳出血・くも膜下出血と、脳の血管が詰まってしまう脳梗塞があります。
 近年、脳卒中の治療は飛躍的に進歩しており、特に全体の7割以上を占めるといわれる脳梗塞について画期的な治療法が広まりつつあります。血栓溶解療法といって、詰まってしまった血管を薬で再び開通させる事で、成功すれば劇的な症状の改善が期待できるものです。
 非常に有効な治療法ですが、制約もあります。脳梗塞を発症してから3時間以内でないと薬が使えないのです。
また、脳卒中専門施設でないと困難な治療でもあります。
 脳梗塞だけでなく、脳出血などについても時間が経つほど症状は進行し、治療開始が早いほど機能回復が良好と言われています。タイトルに挙げたとおり、脳卒中はまさに時間との戦いで、発症からの一分一秒が貴重なのです。しかし実際には症状に気付かなかったり、気付いていても「大丈夫だろう」と様子を見ているうちに受診が遅れてしまう方もいらっしゃいます。
そこで、比較的簡単に脳卒中を発見できる方法を御紹介したいと思います。

① 笑顔を作ってもらうと、顔の片方がうまく動かない

② 目をつぶって両手を水平に挙げてもらって、片方がうまく挙がらない

③ うまくしゃべれない、言葉を間違う、言葉が出ない

これらのひとつでも当てはまれば、脳卒中の可能性が非常に高いと考えられます。

もちろん、脳卒中の症状は多種多様でありこれが全てではありません。意識がぼんやりしている、突然始まった強い頭痛なども注意が必要です。
 今回は万が一脳卒中を起こしてしまった場合のお話を書きましたが、当然ながら大切なのは脳卒中を予防することです。適度な運動、禁煙、そして血圧・糖尿病・コレステロールなどの持病のコントロールが重要ですね。

内科部長 吉野 光晴