医療コラム

つづらご

町広報「まつまえ」19年8月号掲載

皆さんお元気ですか? 暑い盛りですが、どうか体調を崩されませぬよう。私も無理をせぬようにします(血圧が上がりますから・・)。医者の不養生とはよくいったものですネ! 畑のほうはといいますと、黒モチキミ[黒モチトウモロコシ]があと少しで収穫できそうです!

さて、今回はつづらごについて。「つづらご」とは、医学では帯状疱疹[たいじょうほうしん]といいます。疱疹とは水ぶくれのことですから、字面からは「帯をなすかのように並んだ水ぶくれ」ということになります。
つづらごとはなんでしょう? これをお話しするにはまず水ぼうそうのことからご説明しなくてはなりません。皆さんたいていの方は子供の頃水ぼうそうをやっておられますよね。頭のてっぺんからつま先まで小さな水ぶくれができてかゆくて・・・。え? 覚えていない? そうですよね。物心がつくまえにやってしまった方も多いでしょう。水ぼうそうというのはウイルスによって起こるのですが、このウイルス、水ぼうそうが治ったあとも実は身体の中で冬眠しているんです! どこに? 背骨を通る神経の太い束のことを脊髄というんですが、その脊髄から出ている細かな神経の根っこのところに眠っているんですよ。そして、その冬眠しているウイルスが、ある日ある時冬眠から目覚めるんです。なぜ目覚めるのかはよくわかっていません。たいていの人は何も思い当たるところがないようです。中には疲れていたとかストレスがあったという人もおられますがネ。
で、目覚めたウイルスは、今度はその細い神経にだけ沿って水ぶくれを出すんです。だから「帯状」になってるんですね。通常は身体の片側にしかできません。
つづらごには、いたみやかゆみを伴うこともあります。4通りあります。
(1)いたくてかゆい
(2)いたいだけ
(3)かゆいだけ
(4)いたくもかゆくもない。
水ぶくれができるまでには違和感を感じてから3日から7日かかります。ですから、最初は水ぶくれが出ていなくてもあとからもう一度見ると出てきていることがありますので要注意!
つづらごは治るまでに2週間かかります。それをすこし早く治すお薬があり、町立病院でもお出しすることができるんですよ。内科か外科におかかり下さい。わざわざ皮膚科に行かずとも同じお薬がお出しできるんです。
つづらごのあと、残念なことに神経痛が残ることがあります。これは治療の有無にかかわらず最初から運命的に決まっているようでして、運が悪いとしかいいようがありません。ずきずきするいたみは大変つらいものです。治療には苦労しますが、あきらめずに取り組むことにしています。
ではまた。

院長 木村 眞司