医療コラム

薬の飲み方、飲み合わせ

町広報「まつまえ」25年2月号掲載

みなさんこんにちは。町立病院の吉野です。
今年は例年になく厳しい冬になりましたね。雪かきも大変なことと思います。みなさんくれぐれもご自愛下さい。

さて、今回は薬にまつわるお話をしたいと思います。

 「薬はお水以外で飲んでもいいの?」よく尋ねられることがある質問ですが、結論としてはお水か白湯で飲むのが一番です。中にはお茶で飲む方もいらっしゃると思います。お茶で飲んではダメ、ということはありませんが、カフェインが薬の効き具合を変えてしまうことがあるため、コーヒーや紅茶は避けた方がよいです。
 あまりいないでしょうが、炭酸飲料やジュース(特に柑橘系)はやはり薬の作用を変えてしまうためよくありません。牛乳は胃にやさしい感じがしますが、これも薬の吸収に影響するためおすすめできません。
 私が小さい頃、祖父はよくお水なしで薬をそのまま飲んでいたのですが、実はこれもよくありません。薬の吸収が悪くなるばかりか、食道にくっついたまま薬が溶けると潰瘍を起こし大変危険なのです。「水なしで飲めます」と明記されている薬以外は、必ず十分な水で飲みましょう。
 食べ物の中には、薬の作用を変えてしまうものもあります。「血液さらさらの薬を飲んでいたら、納豆はダメ」と聞いたことがある方は多いと思います。その通りなのですが、これにはけっこう誤解されている方もいらっしゃいます。「血液さらさらの薬」には何種類もあり、納豆を食べていけないのはそのうちの一種類です。該当する方には初めて処方される時に必ず説明がありますよ。
 他にも、グレープフルーツ(ジュースも含む)も有名な所です。様々な薬を分解する酵素の働きに影響するため、定期的に薬を飲んでいる方は注意が必要です。他にも、まれですがチーズやワインと食べ合わせが悪い薬や、ある種の健康食品・サプリメントも問題になることがあります。
他にも、薬との相性問題(相互作用といいます)がある食べ物・飲み物は多くあります。そして、薬と薬の相互作用はさらに多く、数え切れないほどあります。薬を安全に利用できるよう、薬の説明書きをしっかり確認することが大切です。

 また複数の病院で薬を処方されている方は、ぜひお薬手帳をご用意して下さい。診察の度、薬局でお薬をもらう度に見せて頂くと安心ですよ。

内科部長 吉野 光晴