医療コラム

自分の抱えている病状を理解することはとても大切

町広報「まつまえ」20年8月号掲載

皆さんこんにちは。町立松前病院の八木田です。今回で3回目となりますが、前回に引き続きわたくしが「病院へのかかり方マニュアル」(その3)と題しまして、また少し述べさせて頂きます。

生涯病気を患う(わずらう)ことなく病院通いをしないで過ごされるということはとても素晴らしいことだと思いますが、時代の変化、食生活・生活環境の変化に伴って、何らかの病気を患い病院での治療が必要となることが少なくありません。

例えば、風邪や軽いケガなどのように一時的な症状で適切な治療によって完治する病気もありますが、高血圧症や糖尿病のように長期間に渡ってお薬での治療が必要なものもあれば、変形に伴う膝の痛みや骨粗鬆症に伴う腰の痛みのように症状が軽減したり増強したりを繰り返しながら経過するもの、認知症のように徐々にではあるが進行していくものなど、ある程度症状や数値をコントロールすることはできますが完治には至らない病気もあります。他には、職場での人間関係に伴うストレスやご近所づきあいに伴うストレスのように環境に影響を受けるものもありますし、嫁姑関係・夫婦関係の悪化に伴う体調不良や心の病いのように背景に根深いものが関連していたり、中には修正不可能であったりとあまり立ち入ることのできない性質のものもあります。

病気になった、ずっと治療が必要になる、通院しなければならないからといって、必ずしも悲観的なことばかりではなく、自分の抱えている病状をきちんと理解して病気と上手に付き合うことで、満足度の高い充実した生活を送ることは決して無理なことではないと思います。そして「もう年のせいだから…」ということは口にせず、自分らしさを大切にしながら笑顔の見える生活に向けて前向きなお気持ちを持って頂きたいと思います。

ご自分の病状をきちんと把握して頂くことによって診察室でのコミュニケーションが更に良好となり、受診の際の長い待ち時間が少し解消されることにつながるかも知れません。

副院長 八木田 一雄