医療コラム

目がぐるぐる回る

町広報「まつまえ」21年6月号掲載

こんにちは! 皆さんお元気ですか?畑の方はいかがですか?イモまきを早くなさった方は、もう芽が出ていることでしょうね! 私の長ネギはなんとか生き延びています。
病院の廊下にはいつもいろいろな展示がしてあり、患者様や私ども職員の心を和ませてくれます。
どれも有志の方々のご厚意によるものです。本当にありがたく思っております。どうか今後ともよろしくお願いいたします!

さあ、今回は目がぐるぐる回るお話です。とはいっても、(病院が)忙しくて目が回るというのではなく、ホントに目が回るお話。

朝日 「せんせぇ、オレ、目、まわってどうもなんねぇ。」
木村 「あれれ、そうですか。いつぞやもありましたよね。」
朝日 「んだ。2年ばし前にもあったんだ。夜朝(明け方)にしょんべんさ起きたら天井も床もぐるぐる回って・・・。
このたびとふっとじエンタな(同じみたいだな)。」
木村 「そうですか。どれくらいのあいだ回ってました?」
朝日 「ほーだなー、ちょっとのあいだだ。」
木村 「何秒かですか?」
朝日 「そうだ。」
木村 「このたび耳鳴りがしたり、耳が聞こえなくなったりしましたか?」
朝日 「ほういうことはねぇナ。」
木村 「口が回らないとか、腕が利かなくなったとかいうことはありませんか。」
朝日 「ねぇ。せんせぇ、このめまい、けぁねぇか[きゃあねぇか](大丈夫か)? 当だるんでねぇべか?(脳卒中になるんでないか)」

という会話は、毎日毎日全国の医療機関で何万人もの人が交わしている会話です(けぁねぇとは言ってないかもしれませんが・・・)。

ぐるぐる回るめまいにはいろいろありますが、一番多いのがこの会話のようなタイプです。
つまり、1.頭や身体の向きを変えたときに、2.ぐるぐる回るめまいが、3.数秒間起こる、というもの。めまいの軽い人はぐるぐる回る感じがせずに、ふわふわ雲の上を歩いているような感じだけのこともあるんですよ。だいたいは数日間で治りますが、数週間から数ヶ月間かかることもあります。「当だるんでないか」って? いいえ、ほとんどの場合「当たる」こととは関係ありません。このめまいは基本的には耳の深いところから来るものなんですよ。鼓膜のまだまだ奥にある「内耳」というところに原因があります。ごくごく稀には脳卒中と区別がつきにくい人もいますがね。

メニエール病とはどう違うかって? メニエール病ならめまいと同時に耳鳴りが起きたり、めまいと同時に耳が聞こえにくくなったりするんです。(いつも耳鳴りがするのやいつも聞こえにくいのはまた別の話です)
どうやったら治るか、ですか? 何もしないでも時間が経てば治ります。お薬もあります。2週間ぐらい飲んでいただくことが多いですね。ひどいときには病院にいらして吐き気止めの注射を打つと結構楽になりますよ。
ではまた。

院長 木村 眞司