医療コラム

アルコールのはなし その2

町広報「まつまえ」19年1月号掲載

あけましておめでとうございます! 本年もよろしくお願い申し上げます。
今年は病院2階の病棟連絡通路にギャラリーを開設したいと考えています。 2週間なり1ヶ月なり御自分の作品を展示してみませんか? 是非事務までご連絡をお願いいたします。

皆さんはお正月にお酒をきこしめしましたか?
ある精神科医によると、日本人は昔、冠婚葬祭の折や盆暮れ正月にしか飲まなかったんだそうです。 普段から飲むようになったのは明治維新以降なんですって。へぇ~。

アルコールの適量はどれくらいなんでしょう?
濃度100%のアルコール(薄めていないということ)に換算すると男性30g、女性20gぐらいなら身体によいとされています。 男性なら日本酒一合、ビール500cc、焼酎なら120ccぐらいです。「ほんなんだら飲んだ気がしねぇナ!」

アルコール依存症という病気があります。昔でいう「アル中」。 これは「アルコールをやめるブレーキが壊れた病気」であると上述の精神科医がいっていました。
飲むと止まりませんし、またアルコールが切れるとすぐに飲みたくなってしまいます。朝から飲みっぱなしの人は依存症です。 生活や仕事に支障をきたし、また周りにも迷惑がかかりますが、「自分の飲酒には何も問題はない」と主張します。
飲み過ぎると肝臓に来ます。膵臓にも脳にも手足の神経にも来ます。 栄養も偏ります。また、依存症の陰には「うつ病」や「不安神経症」が隠れていることもあるんですよ。

では、依存症の人はどうしたらよいのでしょう?
「節酒」という選択肢はありません。お酒を全くやめるしかないんです。
「ちょっとだけ」が「もう少し」につながってしまうからです。 やめるには本人の「一滴も飲まない」という固い決意と、ご家族のきぜんとした対応が必要です。 ご家族は一切の飲酒を許容してはならないのです。 それが本人への思いやりというものです。
他に有効な手段としては依存症専門病院への入院や、「断酒会」への参加などがあります。
ところで一つご理解いただきたいのは、依存症になるのはなにも精神が弱いからではないということです。 もともと体質的にこの病気になりやすい人がいるのです。 そういう体質の人がたまたまお酒を飲み始めると、止まらなくなってしまうんですネ。 きっかけとしてはお正月が少なくないんだそうですよ。

お困りの方、ご相談に乗ります。お正月のお酒には(来年から)御用心!

院長 木村 眞司