医療コラム

『命をつなぐ救急搬送』

町広報「まつまえ」22年12月号掲載

こんにちは! 夏目です。
師走になりました。光陰矢のごとし・・皆さんにとって、今年はどんな年でしたでしょうか。

 さて、今日のテーマは「緊急搬送」です。当院は年間300件以上の救急車を受け入れていますが、その中には当院では治療できないために緊急で函館の病院へ搬送せざるを得ないこともしばしばあります。(心筋梗塞、くも膜下出血、大動脈解離など)

【医療チームの召集と初期診断】

 専門医への緊急搬送を要する病気を疑うと、時間外であれば検査スタッフが召集されます。採血、点滴、酸素投与、薬の準備などを同時進行しなければなりません。看護師は病棟の仕事を一時中断して救急患者の看護に全力を尽くします。同時に函館への緊急搬送の準備をします。救急車に同乗する待機看護師への連絡と、患者さんの病状によっては医師が同乗しますので当直医が病院を離れる間、病院を守るためのバックアップ医師への連絡です。そして、診察や検査結果により診断が下ると函館の適切な救急病院と連絡を取り合い、搬送に移ります。

 重篤な病気を疑ったら検査や治療で時間が掛かるよりもすぐに送ったほうがいいのでは、と考える方もいるかもしれませんね。でも、函館までは救急車でも一時間半以上かかりますので病状を安定させ、受け入れる病院で次の治療をすぐに始められるように当院で初期診断し、治療を開始しなければならないのです。

【治療しながらの緊急搬送】

 そして緊急搬送の始まりです。狭い、そして揺れる救急車内でできることは限られます。血圧を測りながら薬の量を調節したり、痛み止めを注射したりします。看護師は声をかけ、励まし、痛いところをさすり、励まします。救急隊員の一人は運転、一人は心電図や血圧計などの管理や患者さんの状態を診たり、病院との連絡に当たります。

 このように、松前の医療は救急隊員も含めて多くの専門家が各々の職務を全うすることで支えられているのですね。そして私たちは、元気になって帰ってくる患者さんの笑顔で支えられています。

松前町立松前病院は、より信頼され、愛される病院を目指しています

内科医長 夏目 寿彦